ミッドナイトケイリンを制する者は車券を制す
2019/10/07
競輪の売上は最盛期には2兆円に迫る売り上げを誇っていましたが、バブル崩壊からずっと落ち込んできました。しかしここ7年ほどほぼ横ばいに推移しており、最近3年は年間6,300億円を超え前年対比も微増という売上状況が続いています。
これで競輪の売上は底を打ったような感じとなっていますが、中央競馬やボートレースと比較すると大底からの回復力に乏しく、主要3競技の中で唯一取り残されたような感じとなっています。競輪は売上額は変わらないのですがその売上げ構成は近年大きく変わってきています。
まずグレード別の売上ですが、以前は特別競輪と記念競輪をあわせたGグレード開催が全体の過半数以上を占めていましたが、近年はGグレードレースの売り上げは徐々に落ち込み、平成29年度は46.6%まで下がってきております。
その一方FⅠFⅡグレードの売上が大きな比率を占めるようになってきています。
また販売チャンネルも変わってきており、言ってみれば本場場外売場の凋落とインターネット投票の勃興という図式が定着してきています。例えば平成22年度の本場売上は780億円であったものが、平成28年度には320億円と実に6割も減少しています。場外発売も平成22年度には4,200億円であったものが平成28年度には3,600億円まで減少しています。
ではどの販売チャンネルの売上が伸びたかというと、電話投票・インターネット投票とりわけ新しく出来た民間ポータルサイトでの車券の売上が大きく伸びています。
なぜこのような状況になったのかというと、そのキーワードはミッドナイトケイリンなのです。ご存知のようにミッドナイトケイリンは、他の公営競技が寝静まった時間から深夜にかけてレースを行う、いわば真空の中を飛ぶような破竹の勢いを示しているのです。
ミッドナイトケイリンは売上げが大きい事もさることながら、7車立ての7レース制で選手数が少ないため賞金が少額で済み、お客さんを入れない事から開催経費もかからないため、施行者に非常の大きな恩恵をもたらしています。現に後発の参入者が続々と続いています。
ミッドナイトケイリンでのレースは全く新しい顧客を開拓するとともに、これまで9車立てのレースを愛してきた人たちも、そのあたり易さから支持されるレース形態となっているのです。
恐らくオリンピックにおけるスポーツケイリンの盛り上がりと、千葉にできる木製250バンクでの開催と相まってこの傾向はますます強いものになっていくと考えられます。今後は7車立てのスピードケイリンでの予想を制するものが車券の勝者となるでしょう。